小5の息子に、スマホをいつ持たせるか。元刑事の言葉が頭を離れない
禁止より準備を、と思い始めている父の現在地
息子が変わってきた。
自分の意見をはっきり言うようになった。好きなことには熱中し、嫌なことには理由を述べて抵抗する。親の言葉をそのまま受け取らず、一度自分の中で考えてから返してくる。そのやりとりが、以前とは明らかに違う手応えになっている。
私は県知事認証の保育マイスターで、認定こども園の副園長をしている。子どもの育ちについて講師として話す機会もある。そして家に帰れば、小学5年生と2年生の息子たちの父親だ。仕事で子どもと関わり、家でも子どもを育てる。この二つの立場が重なるところで、ふと立ち止まって考え込むことがよくある。
ある夜、妻からこんな話を聞いた。小学校のクラスでスマホを持つ子が増えてきている、友人と話していたときにそういう話題になって、「うちの子にはいつからスマホを持たせたらいいんだろう」と相談されたのだという。妻自身も答えが出なかったと言っていた。
その話を聞きながら、以前に読んだある本のことを思い出した。元埼玉県警捜査一課でデジタル捜査班の班長を務めた佐々木成三氏の著書だ。ネットワーク上のいじめや犯罪、SNSのトラブルを実際の捜査現場から書いた本で、読んだときに強く印象に残っていた。その本の中で佐々木氏は、スマホを持たせるなら小学4〜5年生の時期が適切だと書いていた。
息子はまだ、スマホを欲しがっていない。そして今、小学5年生だ。
だからこそ、今だと思った。
子どもが何かを欲しがっているとき、その子はすでに「欲しい」という気持ちに動かされている。そこにルールや制限を持ち込むと、子どもは「取られる」「邪魔される」という感覚で受け取りやすい。話し合いのつもりが、交渉になる。
でも欲しいと思う前の段階なら、話の入り口が違う。「一緒に考える」という形で始められる。親が先にルールを押しつけるのではなく、「こういう世界があるよ、こういう使い方があるよ、こういう怖さもあるよ」と、一緒に地図を広げるような時間が持てる。
保育の現場では、「禁止より環境の整備」という考え方がある。危険だからと遠ざけるのではなく、安全に使える環境を整えた上で経験させる。はさみも、高い遊具も、泥遊びも、最初から「危ないからダメ」にはしない。使い方を教え、見守り、経験の中で力をつけていく。
スマホやネットも、いつかは持たせないわけにはいかなくなる。だったら、環境を整えながら一緒に入っていく方が、保育の原則と重なる。保育者としての専門知と、父親としての直感が、この点では珍しく一致している。
ただし、怖さは本物だ。
グループLINEのトラブル、見知らぬ大人からの接触、課金、SNSへの無断投稿、ネットいじめ。これらは保育マイスターとして講師の立場で話すこともある内容だ。知識として持っている分、怖さの解像度が高い。
専門知があるから安心できるのではなく、専門知があるから余計に怖い。これは、保育者が自分の子育てに直面したときに感じる、独特のずれのひとつだ。
だから、佐々木氏の本を思い出したとき、最初に感じたのは安堵ではなかった。「やはりそうか」でも「そうすればいいのか」でもなく、「でも怖い」だった。
佐々木成三氏は、デジタル捜査の最前線で実際のトラブル事案を担当してきた人物だ。子どもとネットをめぐる被害の現実を、誰より知っている立場にある。
その佐々木氏が、著書の中でこう書いている。いつかは持たせないわけにはいかなくなるのなら、思春期・反抗期を迎える前に持たせて、使い方を一緒に学んだ方がいい。反抗期前であれば、親が介入できる余地がある。子どもがトラブルに直面したとき、親に相談できる関係が残っている。この時期を逃すと、子どもは親に言わずに問題の中に入っていく。
具体的な時期として、小学4〜5年生を挙げている。
上の息子は今、小学5年生だ。
怖さを誰より知っている人間が、この時期を推奨している。それは単なる楽観論ではなく、現場から積み上げてきた実感からの言葉だと読んだ。そこに、私は重みを感じた。
まだ、決めていない。
ただ、「持たせない」を結論にするつもりはない。それは保育の原則とも、佐々木氏の論とも、自分の直感とも、どれとも合わない。
今考えている輪郭だけ書いておく。持たせるなら親が中身を確認できる状態にする。最初は機能を絞る。怖いものは怖いと、一緒に見ながら話す。ゲームのときと同じで、一緒に使う時間を意識的につくる。何かあったときに親に言える関係を、先に育てておく。
条件の中身は、これから息子と一緒に考える。それがたぶん、この問題への正しい入り方だと思っている。
答えが出たとき、またここに書く。

ものすごく響きました。
「欲しいと思う前の段階なら、話の入り口が違う。「一緒に考える」という形で始められる。」←なるほどと思いました。確かに欲しくなったものに対してルールを作ると、子どもにとっては規制になりますね。
あと、具体的な時期を明示する佐々木成三という方もすごい方ですね。
我が家は既に与えてはいますが、改めて考えさせられました。
深い学びになる記事を、ありがとうございます!
Kantさん家の今後も気になります😌